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一括PDF 2026.01.20
このレポートは何十年かぶりに読み返した朝永振一郎「光子の裁判」にあらためて深く感動したことがきっかけで,場の量子論の
基本的な骨組みを勉強しようという気になり,ゆっくりと時間をかけてまとめたものです。
光子裁判の中で
『全員が見守る中,護送車で連れてこられた被告が窓の壁の方に向かってつき放たれました。私は見落とすまいと目を皿のよう
にして見つめていました。が,\uwave{被告が放たれた瞬間,その姿は消え失せてしまった}のです。姿のないものの径路などもちろん
辿ることなど出来ません。ことの意外さに驚愕し,只々うろたえていたところ,壁に立ち並ぶ警官の一人に被告が触れたのでしょうか,
突然,警官がアッと声を上げた,と同時に忽然と被告がその場に姿を現し,警官につかまりました。』
というくだりは,複素世界に棲む波動関数(波乃光子)の姿態を見事にビジュアルに描かれているなぁ〜と感銘しました。
きっかけがそういうことですから,成り行きとして2重スリットの話題に触れ,その自然の流れとして古典力学から前期量子論を経て
量子力学を概観し,それから場の理論へと話を進めることにしました。なお,解析力学や量子力学の一応の予備知識をお持ちの方は,
第1章,第2章をスキップして第3章から読まれるといいでしょう。
さて,場の理論の稿を進めるに当たりなにか適当なガイドブックはないかと本棚を眺めると武田暁「場の理論」が目に入りました。
この著書は相対論を考慮に入れない非相対論的場の理論のテキストで,大変わかりやすく,また丁寧に書かれています。そこで
このテキストをガイドブックとして,その行間を埋めるつもりで進めていこうと着手し,仕上がったのが本レポートという次第です。
勿論,当方の理解不足による不適切な記述も多々あるかとはおもいますが,そのあたりはご自分で奮戦・消化されるか優しくアド
バイスを頂ければと思います。
<目次>
第1 章古典波と量子波
1.1 光子の裁判
1.2 ヤングの干渉実験と古典波
1.3 物質波・量子波
1.4 位置と運動量の不確定性
第2 章古典力学から量子力学への移行
2.1 古典力学
2.2 前期量子論から量子力学へ
第3 章調和振動子の量子化
3.1 生成消滅演算子の導入(第2 量子化)
3.2 生成消滅演算子の働き
3.3 生成消滅演算子の行列表記
3.4 調和振動子の位置,運動量,全エネルギーの平均値
3.5 調和振動子の自由粒子像
第4 章自由粒子の場の理論
4.1 “ ひも”の振動の量子化 〜相互作用している調和振動子〜
4.2 自由粒子の場の理論
第5 章相互作用するボーズ粒子系
5.1 ボーズ粒子系の場の理論
第6 章相互作用するフェルミ粒子系
6.1 フェルミ粒子系の場の理論
6.2 超伝導体の場の理論
第7 章自発的対称性の破れ
7.1 強磁性体モデル
7.2 南部・ゴールドストーン粒子とギャップレス励起
第8 章ゲージ場の理論と光子
8.1 マクスウェル方程式とゲージ変換
8.2 荷電粒子と電磁場の相互作用
8.3 ゲージ場の量子化と光子
8.4 クーパー対と電磁場の相互作用
第9 章場の理論における種々の粒子像
9.1 “ ひも”の振動
9.2 場の量子化
9.3 相互作用する粒子系
9.4 自発的対称性の破れ
9.5 ゲージ場
・<付録>
・付録A 1体,2 体演算子を生成消滅演算子で表す
・付録B 特殊相対性理論の概観
<参考文献>
一括PDF 2019.10.29
昔,といっても既に半世紀近く前になりますが,学生時代,大学の図書館で高内壮介・「湯川秀樹論」を読んだことがあります。
内容はほとんど忘れましたが,熱拡散方程式と湯川理論との関係が書かれていたような記憶がありますが,定かではありません。
いずれにしてもその本から強い印象を受けたことだけは覚えています。
爾来,いつかまた読みたいなぁ〜とずっと頭の片隅で思っていたのですが,最近ふとしたきっかけで古本ですが,高内壮介(著)
「湯川秀樹論」を見つけ,早速購入して逸る気持ちをおさえながら読んでみました。学生時代に読んだ本の内容とは記憶の範囲に
おいて異なっていましたが,その内容の面白いこと。素粒子物理学の発展に寄与した先人の苦闘・舞台裏を臨場感たっぷりに叙述
されている筆致に興奮を覚えました。
と同時に,この本を正確に筆写しながら,自分なりに量子物理学の発展の歴史を追体験し,味わってみたいという気が起こり,
素粒子論の発展に直接関係する部分を筆写しました。
同好の士向けにといってもまったく余計なお節介かも知れませんが,筆写した稿を,素粒子物理学の発展の経緯が分かるように
章立て・補足・脚注等を加えて公開することにしました(出版者様ご寛容のほどお願いします)。
非常によく書かれている本と思いますので,座右におかれても間違いはないと思います。
<目次>
第 1 章 量子力学誕生前夜
1.1 光電効果
1.2 ド・ブロイの物質波
第 2 章 量子力学の誕生
2.1 シュレーディンガーの波動方程式
2.2 波動関数の数学的解釈
第 3 章 ディラックの相対論的波動方程式
3.1 ディラックの海:場の量子論への道程
第 4 章 湯川秀樹雌伏の時代
4.1 ベータ崩壊の謎
4.2 フェルミのベータ崩壊理論
第 5 章 湯川中間子論
5.1 湯川中間子論の本質
5.2 中間子論の意味するもの
第 6 章 非局所場理論から素領域の理論へ
6.1 非局所場理論
6.2 素領域の理論
第 7 章 ゲージ理論
7.1 「くりこみ」とは何か
7.2 超多時間理論
7.3 くりこみ理論を超えて
7.3.1 第一の路線
7.3.2 第二の路線 素粒子の分類と群論
7.3.3 第三の路線
7.3.4 第四の路線 −ゲージ理論−
内山-ヤン-ミルズ場の理論
ワインバーグ-サラム理論
質量の捻出 −対称の自発的破れ−
漸近的自由
第 8 章 終章
8.1 ゲージ理論と素領域の理論
HENLY-THILYING
「初等場の量子論」を読む (現在中断しています。)
1.自由場 [2005.10.30]
・線状連続体のハミルトニアンの定式化を扱っています。
2.調和振動子 [2005.11.13]
・いわゆる生成消滅演算子を使ったハミルトニアンとその固有値,演算子のダイナミクスを扱っています。
3.結合振動子 [2005.12.18]
・線状に並んだ振動子に相互作用を取り入れたハミルトニアン,基準座標の導入等を扱っています。
4.場 [2006.01.08]
・連続体極限としての場を取り扱います。シュレーディンガー場のラグランジアン等。