非ニュートン流体力学(その1)  2024.11.16

 非ニュートン流体というのはニュートンの粘性法則が成立しない流体のことで,マヨネーズやケチャップなど身の回りにも数多く存在します。これらの流体はレオロジーという分野で論じられます。私もサラリーマン時代,レオロジーに関連した仕事を少しやったこともあり
,レオロジーについていつかまとめてみたいなという思いはありました。
 たまたま,書棚に眠っていた中村喜代次「非ニュートン流体力学」(コロナ社)という本が目に止まり,この本をネタ本として取り組んでみようかという気になり,とりあえずまとまったのが「非ニュートン流体力学(その1)」という次第です。ご興味のある方は一読ください。また,おかしな議論をしているところを見つけられれば,ご一報いただくと有り難い。

目次                     一括pdf

第1 章非ニュートン流体とは
 1.1 概要
 1.2 これからのための数学的準備
第2 章連続体の運動と変形
 2.1 物体の運動と2 つの表現方法
  A.物質表示,B.空間表示
 2.2 変形とひずみ
 2.3 変形速度と回転速度
第3 章応力と場の方程式
 3.1 応力ベクトルと応力テンソル
 3.2 運動の法則
 3.3 物質客観性の原理
 3.4 円筒座標表示について
第4 章非ニュートン・粘性流体の流れ
 4.1 ニュートン流体とナビエ・ストークス方程式
 4.2 基本的流れ
 4.3 非ニュートン流体の流れ
 4.4 粘塑性流体
 4.5 擬塑性流体
 4.6 ダイタラント流体





流体力学Tips     2015.10.25   一括PDF

今回,「流体力学Tips」を新たに加えました。流体力学講話の補足版のような感じですが,テーマとしては管理者の気ままな気分で取り上げました。いまのところこれ以上話を増やす積りはありません。

第1話 連続の式の導出
 ・流れの状態と流体の種類。
 ・連続の式(微分形と積分形)。


第2話 流れの記述
 ・流れを視覚的に表す流線,流跡線,流脈線と数学的な取り扱い。

第3話 ラグランジュの方法・オイラーの方法と流体の運動方程式
 ・流体の運動状態を表す2つの運動方程式のお話。
 ・ラグランジュの運動方程式とオイラーの運動方程式。
 ・ベルヌイの定理


第4話 流体粒子の変形と回転
 ・流体粒子は並進運動,伸縮運動,ひしゃげるような運動,回転運動をしているという内容。
 ・ラグランジュの渦定理。


第5話 粘性流体の運動方程式
 ・いわゆるナビエ・ストークスの方程式です。





流体力学講話・つまみ食い(全10回)
※ひよこさんより,第7話の式(11.26),(11.30),(11.32),(11.33),(11.34)で誤植のご指摘があり,早速修正しました。
  Thank's ひよこさん。


 流体力学といえばベルヌイの定理をすぐ思い浮かべる方も多いのではと思います。かく言う私もそうで,昔,高校の物理の授業でベルヌイの定理を習いましたが,「流速の早いところは圧力が下がる」とか風圧は風速の2乗に比例するというようなことを知り,ホ〜っと妙に感心したことをおぼえています。このような初心の頃の感動というものはいつまでたっても忘れないものですね。また,大学初年度で力学の講義(確かテキストは寺沢寛一著「初等力学」だった)を聴いた先生は,少し前頭両脇の生え際が後退している,色の浅黒い精悍な感じの先生で,この先生は流体力学の専門家であることを後で知りました。流体力学といえばまずこの先生のお顔とセクション0ででてくる先輩の顔を思い出します。
 さて,余談はこのくらいにして,流体力学のお話を「流体力学講話・つまみ食い」として全10回の対話形式で進めています。各回の主な内容は以下のとおりで,「つまみ食い」というタイトル通り,中身は特に一貫した内容を意図していませんので,そのつもりで。。。



0.流体力学講話・つまみ食い(Contents)
  ・全講話の目次です。

1.流体力学講話・つまみ食い(その1)
  ・流体の記述・・・連続体近似,応力,完全流体と粘性流体,圧縮性流体
  ・流体のふる舞い・・・レイノルズ数,力学的相似則


2.流体力学講話・つまみ食い(その2)
  ・完全流体の基礎方程式・・・ラグランジュとオイラーの方法,連続方程式,運動方程式,境界条件,渦運動と渦なし運動
  ・流体のふる舞い・・・レイノルズ数,力学的相似則

3.流体力学講話・つまみ食い(その3)
  ・運動方程式の展開・・・渦なしの流れ,ベルヌイの定理の応用,ラグランジュの渦定理,渦度と循環

4.流体力学講話・つまみ食い(その4)
  ・非圧縮性2次元流体の渦なし運動・・・流れ関数と流線,複素速度ポテンシャル,静止円柱を過ぎる一様な流れ


※.ちょっと一服:流れの図


5.流体力学講話・つまみ食い(その5)
 ・ブラジウスの公式・・・ブラジウスの第1,第2公式
  ・クッタ・ジューコフスキーの定理
  ・ジューコフスキー変換・・・円柱を過ぎる流れ,平板を過ぎる流れ


6.流体力学講話・つまみ食い(その6)
  ・渦運動から循環まで(復習)
  ・渦列・・・渦の層と渦列,渦を動かす流れ,カルマン渦列


7.流体力学講話・つまみ食い(その7)
  ・粘性流体の力学・・・粘性,粘性流体の運動方程式,非圧縮性粘性流の例(ポアゼイユ,クエット),2次元NS方程式

※.N−S方程式のフォロー:例題


8.流体力学講話・つまみ食い(その8)
 ・乱流の速度分布とレイノルズ応力・・・運動量輸送理論,プラントルの仮定,対数速度分布,1/7乗則
  ・境界層理論・・・境界層,境界層の運動方程式,ブラジウスの厳密解法


9.流体力学講話・つまみ食い(その9)
  ・境界層の剥離・・・境界層の定義,境界層の剥離,拡大管の剥離点
  ・粘性流の遅い流れ・・・ストークス近似,ストークス近似の基本解,一様な流れの中の球


10.流体力学講話・つまみ食い(その10)

  ・球のまわりの流れ・・・Butlerの球定理
  ・水の波(微小振幅波理論)・・・仮定と境界条件,分散関係(浅水波と深水波),水の運動(群速度,定在波)





 ある日,水理学という本を見ていると,「相対的静止」というところで,水槽を急に移動すると水面が斜めに傾く(どなたも日常経験的によくご存知と思います)ことが,Eulerの方程式を使って明解に説明されているのが目に止まり,遅ればせながら少し感動(?)しました。
 Oh!ということで水理学を少し齧ってみようという気になり,最初は興味の引く面白そうなところだけを勉強しようとはじめましたが次第に深みに嵌り,その結果仕上がったのが本レポートという次第です。
水理学は実学問で,現場で活用するにはいろいろな公式の使い方に慣れておくことが大切で,これには具体的な例題にあたることがその早道と思います。ということで,参考文献等に載っている例題を逐一計算・確認しつつ拝借・掲載しました(深謝)。
 浅学ゆえの独断・偏見による誤記が散見されるかもしれません。それらを見つけられれば,やさしくご一報いただくか,あるいはご自分で乗り越えていただければと思います。
それではご玩読ください。

■ Contents  2023.09.24     水理学一括pdf
§1.静水圧
§2.平面に作用する静水圧
  2−1.水平な平面に作用する静水圧
  2−2.鉛直な平面に作用する静水圧
  2−3.傾斜した平面に作用する静水圧
  2−4.曲面に作用する静水圧
§3.浮体の安定性
  3−1.浮力
  3−2.浮体の安定性
§4.相対的静止
  4−1,オイラーの運動方程式
  4−2.相対的静止の水面
§5.ベルヌイの定理と運動量保存則
  5−1.ベルヌイの定理(エネルギー保存則)
  5−2.運動量保存則
§6.オリフィス,堰
  6-1.大型オリフィス
  6−2.潜りオリフィス
  6−3.堰
§7.管水路の流れ
  7−1.エネルギー損失を考慮した拡張ベルヌイの定理
  7−2.摩擦損失水頭(ダルシー・ワイスバッハの式)
  7−3.形状損失水頭
  7−4.管水路の平均流速
§8.単線管水路
  8−1.管径が一定の単線管水路
  8−2.管径が変化する単線管水路
  8−3.サイフォン
  8−4.水車とポンプ
§9.複合管路
  9−1.分岐管路
  9−2.合流管路
  9−3.分岐管路or 合流管路?
  9−4.直列・並列管路
  9−5.管 網:ハーディ・クロス法
§10.開水路の流れ
 10−1.開水路の定常流の基礎方程式
 10−2.比エネルギーと限界水深
 10−3.限界水深とフルード数
 10−4.流れの遷移と水面形
 10−5.跳水と比力
 10−6.不等流(漸変流)
      ブレスの公式



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